• 可変ピッチプロペラ

    船舶のパフォーマンスの向上

可変ピッチプロペラシステム

バルチラ可変ピッチプロペラシステムは、優れた性能と操船性を備えており、様々な運航条件と頻繁な航行が求められる船舶に推奨しております。こうした船舶に該当するものとして、ボラードプルと自由航行の両方の条件において全出力を必要とする船舶、あるいは頻繁に寄港する船舶などがあります。また、バルチラ可変ピッチプロペラシステムは、多様かつ厳しい気象、海象条件への対応が必要な船舶や自動船位保持などの運航要件が厳しい船舶にも適用できます。

可変ピッチプロペラは、多くの場合において、一定の回転速度で作動する軸発電機を備えた設備に最適な選択といえます。自動ピッチ調整により重負荷と軽負荷のいかなる条件においても完全な推進力が可能になります。又、条件に関わらず、機関の過負荷を回避することができます。

バルチラ可変ピッチプロペラシステムは、中速ディーゼル機関と低速ディーゼル機関、双方の推進方式に最適です。ギアボックスとPTO/PTIを統合することにより、ハイブリッドな推進システムに変換することができ、次のことが可能となります。

  • 高い運航効率と柔軟性
  • パワーブーストモード
  • 緊急時の推進力

バルチラ可変ピッチプロペラシステムは、ハブ、プロペラ翼、シャフト、油圧装置、制御システム、およびその他の付属品を組み合わせて、お客様のニーズに合わせてカスタマイズすることができます。お客様ご要望の燃料消費量に応じた最適な性能が得られるよう、バルチラの技術者がシステムの調整をいたします。

バルチラ可変ピッチプロペラシステムは、ノイズと振動レベルを最小限に抑えながら、優れた性能と効率を実現します。

  • お客様のご要件に合わせて推進システムをカスタマイズします。
  • 自動船位保持(DP)とアイスクラス用途向けの信頼性の高い推進ソリューションです。
  • 無公害の船尾管装置を搭載します。
  • バルチラOPTI設計という独自のプロペラ開発技術により、プロペラと船体間の実際の相互作用を考慮し、最適化された効率を確保します。
  • メンテナンスが少なく取り付け作業が容易です。
  • バルチラProTouchコントロールパネルにより、ユーザーフレンドリーで直感的な操作を実現します。
  • EnergoPac、EnergoProFin、バルチラEcoControl、HPノズル、フェザリングハブ、およびバルチラOPTI設計により燃料の節約が可能です。
  • 含水率モニタリングとともに潤滑システムを提供します。

バルチラの可変ピッチプロペラ、P&Oフェリーズ社によるイギリス海峡の航行を支援

プライド・オブ・カンタベリー号は、この25年間、ドーバー海峡で運航を続けてきました。バルチラはこのフェリーの船主であるP&Oフェリーズ社より、このフェリーの改造の依頼を受けました。

「車の場合、一般的に、サービスやメンテナンスのために販売代理店やメーカーが利用されます。」と、バルチラ舶用推進システムサービス担当マネージャー、Ross Murphyは述べています。「多くの場合、船舶も同様です。P&Oフェリーズ社の船舶の多くにおいて、建造時にバルチラの機器が採用されているため、オーバーホールやサービスが必要な際は、製造メーカーであるバルチラにご依頼をいただいています。」 

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P&Oフェリーズ社は、アイルランド、イギリス、およびヨーロッパ大陸との間を運航しています。P&Oフェリーズ社は、2隻の貨物船を乗客も運べるように改造し、それぞれ「プライド・オブ・カンタベリー」と「プライド・オブ・ケント」に改名しました。2隻の改造を推し進めたのは、P&Oフェリーズ社の顧客に対する責任、信頼、および社会的、環境的責任という哲学でした。

 「P&Oフェリーズ社の核となるものは、安全性、信頼性、効率、環境への影響です。」と、Rossは語っています。こうした目標を達成するために重要な事の一つが、可変ピッチプロペラを船に取り付けることでした。

 流体力学による効率

 「走行中の車の窓から手を突き出して、手の角度を変えると力の変化を感じることができます。」と、Rossは言います。「可変ピッチプロペラも同様です。ピッチを変化させることで、水を押すためのさまざまなレベルの推力が生じます。」
 可変ピッチプロペラは、優れた性能と操船性を備えているため、「プライド・オブ・カンタベリー」や姉妹船と同様に、様々な運航条件や頻繁な入港が必要となる航行ルートの船舶に最適です。

 「P&Oフェリーズ社は、このルートの船舶の運航パラメーターに対して最も信頼性が高く最も効率的な機器を必要としました。」と、Rossは述べています。

 プロペラ翼を改良し、EnergoProFinプロペラキャップ(プロペラと一緒に回転するフィン付き)を設置することにより、エネルギー効率を向上させることが可能です。バルチラのEnergoProFinは、最大5%の燃料節約を実現でき、投資回収期間は1年未満です。燃料使用量が少ないほど、経費と環境への影響が少なくなります。


お客様のご要望にお応えします

 バルチラは、新造船や改装に可変ピッチプロペラをご提供することに加えて、長期サービス契約に基づく保守点検サービスと24時間年中無休のサポートも提供しています。メンテナンスの必要性は船によって異なりますが、通常、検査とメンテナンスは5年と10年毎に行われます。これには、点検、洗浄、状態評価、予防保守が含まれています。

 本保守点検サービスにより、船主様には、明確なライフサイクルコストの見積りをご確認いただけるとともに、総所有コストの低減、スペアパーツの入手容易性、およびバルチラのグローバルネットワーク等による付加価値をご享受いただけます。

 「北欧には、世界最高レベルの推進に関する専門技術があります。バルチラの技術担当者はP&Oフェリーズ社から直ちに対応するようご要請をいただくことがよくあります。」と、Rossは語っています。「重要なのは稼働時間の最大化です。柔軟で迅速かつ高品質なメンテナンスにより、船舶を可能な限り最短時間のダウンタイムで、確実に運航させることができます。」
 

旧式船のための新たなソリューション

船舶は何十年にも渡って運航されるため、旧式船のためのソリューションを提供することが必要です。機器の寿命が尽きると、その交換には時間がかかります。旧式の制御装置においては、計画を立てダウンタイムのリスクを最小限に抑えることが重要です。

 「バルチラは、制御システムを調査、管理し、P&Oフェリーズ社がそのフリート全体で最新かつ有効な制御システムを確実に保持いただけるようにしています。」と、Rossは語っています。「旧式の制御装置の撤去におけるP&Oフェリーズ社とバルチラの連携業務の内容は、リスクの最小化にかかわることが大半を占めています。」

システム全体をアップグレードし、安定した運航を確かなものとし、スペアパーツの入手性を復活させるソリューションをご提供します。これにより、燃料消費量を削減し、信頼性を高め、大幅な節減が得られることになります。

イギリス海峡は、物や人の流れを支える世界有数の動脈の一つです。P&Oフェリーズ社単独でも、毎日ドーバーとカレーの間に20を超える航路を有しています。

 「バルチラは、P&Oフェリーズ社などのパートナー各社と緊密に連携し、それぞれ独自のニーズを理解しています。」と、Rossは言います。「バルチラの提供する推進システムのソリューションにより、パートナーは安全性、信頼性、効率、及び収益を向上することができるのです。」

 

世界で、約20,000隻の船舶が可変ピッチプロペラで運航しており、その4分の1がバルチラ可変ピッチプロペラを備えています。

北極圏航路での新たな航跡

バルト海は世界で最も重要な交易ルートの一つであり、現在でも、常時、約2000隻の船舶がこのルートを運航しており、一般貨物、液体バルク、およびドライバルクを運んでいます。400を超える港が海を囲むさまざまな地域に点在し、そのうちの少なくとも90が国際貿易で重要な役割を果たしています。

専門家によると、このルートを運航している船舶の50%以上が一般貨物船であり、20%がタンカーであると言われています。新型コロナウィルスの流行時であっても、ほとんどのバルト海の港では比較的安定した入出港数が報告されており、貿易量は減少していないようです。しかしながら、この海上ルートにも問題は存在します。

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このルートのあらゆる種類の海上輸送においては、狭い海峡、点在する陸塊、および何よりも問題となる氷などによる極めて危険な状況に対処しなければなりません。バルト海とその周辺の北極圏の海域は、通常、年間を通じて氷に覆われており、船舶がそのルートを安全に航行する方法は限られています。

この海域での海上輸送は非常に困難であるため、船舶を特別なアイスクラスの基準に合わせて設計して無事に航海できるようにする必要があります。

バルト海専用船

 「レディ・ハネケ」はそうした船の一つです。オランダに拠点を置く海運会社Wijnne Barends社が運航するこの船は、ロシア北部のアルハンゲリスクからサンクトペテルブルグまでほぼ凍結状態の北極圏を運航しています。言うまでもなく、この船には他の船にはない機能が装備されている必要があります。

 「我々の通常の航行ルートは北欧とロシアであり、気象条件に応じて、航海には9~10日程度かかります。」と、「レディ・ハネケ」のチーフエンジニアであるRoman Bobrovは述べています。「冬季には、特定の港、特にアルハンゲリスクには相当な氷が存在しています。このため、船の建造に際しては、確実に、船体、ラダーおよびプロペラ保護装置をより厚くしたアイスクラスに適合する必要があります。「レディ・ハネケ」は、アイスクラス1A船です。」

こうした特別な保護機能を追加装備することで、「レディ・ハネケ」のような船は、砕氷船の支援を受けて、冬季であっても、バルト海を航行することが可能となります。しかし、これはまた、速度と効率を維持しながら、上乗せされた重量を運ぶための動力がさらに必要であることを意味しています。Wijnne Barends社はその特殊な課題を解決するために、バルチラに依頼することにしました。

 「Wijnne Barends社はアイスクラスの海域でフリートを運航しており、その運航には重大な責任が伴っているとともに、燃料の効率性が要求されています。バルチラにとっては非常に重要なクライアントです。」と、バルチアのシニアアカウントマネージャーLuuk Hijlkemaは述べています。「船舶は信頼性が高くなければならないのです。もちろん、将来の温室効果ガス基準を満たすことも非常に重要です。」

 

環境に敏感な海域での航行

温室効果ガス(GHG)の排出量を低く抑えることは、特にバルト海の環境に敏感な特質を考慮すると、Wijnne Barends社にとって欠かせない要素です。この海域には、さまざまな特有の動植物が存在しており、世界で最も厳しい環境基準で規制されています。ここを運航する船舶は、可能な限り最小の排出範囲を確保し、排出量を抑えていく必要があります。

 船がその船速能力を確保しながら、排出量削減とのバランスをとることは容易ではありません。通常、燃料効率が高いほど速度が低下し、航路の収益性に影響する可能性があります。これらすべてを考慮したうえで、バルチラはWijnne Barends社の要件以上を満たすソリューションを提供しました。

 「Wijnne Barends社からの最初の依頼は、2000 kwのプロペラ用にサンクトペテルブルクの港湾当局によって要求された船のソリューションを開発することでした。」と、Hijlkemaは思い起こします。「しかし、船舶におけるシステムインテグレーターであるバルチラの知見から、本当に必要なのはこのパワーの半分だけであることが判明しました。」

 「バルチラは、統合システムアプローチを用いて、船舶がどのように運航されているかを知るために、機関からプロペラまでの船舶のすべての側面を見る完全なドライブトレインを開発し、また実際のすべての運航条件と課題を満たすソリューションを開発しました。」と、Hijlkemaは付け加えています。

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技術情報

出力範囲:500 kW~、上限なし

  • プロペラ径1200 mm~、4翼または5翼のプロペラ
  • ブロンズまたはステンレス製のプロペラ
  • 船舶の用途に応じたさまざまなタイプのハブをご用意
  • すべてのアイスクラスに準拠

バルチラ可変ピッチプロペラシステムは通常、次の3つのカテゴリで利用できます。

  • 減速機付オイル分配ユニット方式。一般的に中速4ストロークエンジンの用途で適用されます。
  • 減速機組込み型ピッチ作動用油圧ユニット。プロペラのピッチ制御油圧システム用に個別の油圧パワーパックを必要としないため、設置作業を省き、補機の数量を減らすことが可能です。
  • 給油軸方式。オイル分配ユニットがシャフトラインに取り付けられている。これは通常、2ストロークエンジンと組み合わせて適用されます。
Power range for Wärtsilä standard 4 bladed bronze hubs, without ice class notation

バルチラ可変ピッチプロペラシステムは、EPA Vessel Permit 2013の要求事項に準拠しており、環境対応型潤滑油(EAL)対応した製品を提供します。バルチラの船尾管システムは無公害を確実にします。

バルチラ可変ピッチプロペラシステムのさらなる利点は、プロペラ翼の水中交換、軸抜きなしでのハブ分解が可能、取り付け作業が容易、メンテナンスの削減、およびノイズと振動を最小限に抑えた効率的なプロペラ設計です。

バルチラは、お客様のニーズに合わせた最大16 MWまでの可変ピッチプロペラシステムの様々なハブタイプをご選択頂けますよう準備しています。

ハブタイプDは、中、小型船のプロペラに最適なソリューションです。ハブタイプGは、大型船の高出力または高負荷のプロペラを必要とする船舶用として選択されます。これらのハブタイプにより、バルチラは、可変ピッチプロペラシステムを必要とするあらゆる市場、船種に供給しています。

CPP Installation
Hub-types
    HPノズル

    ノズルを装備することにより、比較的低い船速のときに推力が向上します。これにより、機関の回転数と出力に応じて、燃料消費量を大幅に節減できます。改良されたバルチラ高性能ノズル(HPノズルタイプ)は、バルチラプロペラと組み合わされると、

    ボラードプル条件で従来のノズルよりも最大5%の推力アップが可能です。ノズルプロファイルは、ノズルの入口側で二重プロファイル断面を示しています。
    fixed-pitch-propellers-hp-nozzle

    HPノズルは、固定ピッチまたは可変ピッチプロペラシステムと組み合わせることができ、通常、次のような使用条件が厳しい船舶に採用されます。

    • タグボートと押船
    • アンカーハンドリングタグ
    • トロール船
    • 浚渫船
    • 砕氷エスコート船

    および、以下のような低速船:

    • エスコート船
    • 一般貨物船
    フェザリングハブ

    フェザリングプロペラは、1つまたは2つのプロペラが規則的に使用されないようにして運航する多機能船での運用で、燃料を節減するために適用されます。プロペラ翼のフェザリング機能により、プロペラを遊転または固定した場合よりも抵抗が少なくなり、燃料消費を低減します。

    主な用途

    • 両頭型フェリー:フェリーの船首側と船尾側の両方にプロペラがあり、前方側のプロペラは航行中には運転しません。

    • 2軸のプロペラ推進の船舶:例えば、航路に高速と低速の両方の運航が含まれる場合に、長時間、1つのプロペラで低速で運航する2軸プロペラのコンテナ船または貨物船/ RORO船。

    • ブースター推進を装備した船舶:中央の主プロペラとウイングスラスタを備えた船泊で、低速の航行が必要な場合に、スラスタのみで運航する可能性がございます。

    • 代替推進を装備した船舶:帆走クルーズ船または帆走ヨットは、エンジンの推進システムを使用しないときの抵抗を最小限に抑えるために、風力推進とフェザリングプロペラを使用します。

    2軸のプロペラ推進レイアウトでのフェザリングプロペラの付加的な特長は、運航を継続しながらも、もう一方のシャフトのメンテナンスとオーバーホールを実施できることです。

    Ahead propulsion position

    前進のプロペラ位置

    Ahead propulsion position

    フェザリング位置

    バルチラEnergoProFin
    Ahead propulsion position

    バルチラEnergoProFinは、プロペラと一緒に回転するフィンを備えた省エネのプロペラキャップです。このソリューションは、平均2%の燃料節約をもたらし、投資回収期間は1年未満です。

    プロペラのエネルギー損失は、プロペラボスの周囲と後方の水流現象が要因となっています。バルチラEnergoProFinを装備しますと、これらのエネルギー損失を減らし、全体の推進効率が向上します。

    バルチラEnergoProFinは、すべての新造船と既存の船舶に適しています。

    詳細を確認 (英語)

    バルチラEnergoPac
    • EnergoPacは、外航船向けに最適化された推進と操船のソリューションです。
    • 可変/固定ピッチプロペラ用途向けで実証済みの燃料節約技術です。
    • 高度な流体力学的技術が適用され、プロペラとラダーの統合された設計を用いて船舶の燃料消費を削減します。
    • 高性能舵の市場リーダーである、ハンブルクを拠点とするBecker Marine Systems社との協力により、卓越した操船性を実現しています。
    • 従来のプロペラとラダーの構成と比較して、船内の快適性レベルが向上します。
    Propeller and rudder
    バルチラの可変ピッチ プロペラのサービス
    controllable-pitch-propeller-services (1)

    可変ピッチプロペラシステムに関して、検査やメンテナンスから緊急修理や最新技術へのアップグレードまで、もしくは完全な交換までのすべてを網羅しています。バルチラの 可変ピッチプロペラのサービスにより、運転コスト(OPEX)を削減し、コストの長期的な可視性を確実にしながら、信頼性を向上させることで、スムーズに運転し続けて頂けます。

    バルチラの可変ピッチプロペラのサービスは、お客様の機器のライフサイクル全体を通じてサポートを提供しながら、迅速かつ効率的で費用対効果の高いソリューションを提供しています。バルチラのサービスでは、定期的検査や計画外の修理でお客様をサポートし、燃費向上の実現を支援しています。

    詳細を確認 (英語)

    Propulsion Energy Efficiency

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